【分散投資の重要性】ディープシークショックでエヌビディア株が下がっているのに、S&P500はそんなに下がっていないのは、結局なぜか?

どうも、Dr.御餅月です!
本日は2025年1月27日に起きたディープシークショックの際のS&500指数の値動きについて詳しく見ていきたいと思います。ディープシークの登場がアメリカ株にどのような影響を与えたのかS&P500の上位10銘柄を中心に解説していきます。
- S&P500指数に連動した投資信託に投資をおこなっている方
- ディープシークの登場がアメリカの株価にどんな影響を与えた知りたい方
結論
ディープシーク登場後、最初の営業日(2025/1/27)の株価の前日比は以下の通り。最も値下がりが顕著であった銘柄は半導体関連銘柄のNVIDEAとBroadcomでそれぞれ約17%の下落。一方で、S&P500指数自体は-1.46%と下落幅は小さい。
ディープシークの登場が、、、
追い風になった企業:Apple, Meta
向かい風になった企業:NVIDIA, Microsoft, Google, Tesla, Broadcom

結局、スケーリング則に従った方針でAIを提供する会社の株価は下がったよ!
逆に、AIを利用する企業は恩恵を受ける可能性があって株価が上がったよ!
分散投資が大事って、はっきりわかんだね!!
銘柄 | 前日比 | |
---|---|---|
S&P500指数 | ー1.46% | |
NVIDIA | NVDA | ー16.97% |
Apple | AAPL | +3.18% |
Microsoft | MSFT | ー2.14% |
Amazon | AMZN | +0.24% |
GOOG | ー4.03% | |
Meta | META | +1.91% |
Tesla | TSLA | ー2.32% |
Broadcom | AVGO | ー17.40% |
GOOGL | ー4.20% |
ディープシークとは

2025年1月末、中国のスタートアップ企業Deepseek(ディープシーク)が低コストで開発した大規模言語モデルの性能が米国で開発されているものの性能を上回ったと発表しました。同社の主張では開発費用は約560万ドル(約8億6000万円)と、米テック企業の10分の1未満の開発費用です。また、使用した半導体もNVIDEAの最新モデルの1世代前のものと発表しています。
大規模言語モデルの開発では、計算資源やデータ量が大きいほどモデルの性能が改善される「スケーリング則」が信じられていました。
(Kaplan, Jared, et al. “Scaling laws for neural language models.” arXiv preprint arXiv:2001.08361 (2020).)
つまり、資金を投入して開発環境を大きくするほど性能が良くなるという理屈の元、米国では大規模な投資が行われていました。
大規模言語モデルのコストを試算している米スタンフォード大学によると、Googleの「Gemini Ultra」の開発費は1億9100万ドル(約300億円)、Open AIの「GPT-4」の開発費は7800万ドル(約122億円)と試算しています。
Deepseek社の開発費が560万ドルと破格の開発費であることから、スケーリング則前提で開発してきた米国の優位性に疑問が生じ、株価が変動しました。
個別銘柄ごとの株価変動

NVIDIA, Broadcom
どちらも半導体の設計を行い、その販売をおこなうファブレス企業です。ファブレス企業とは自社で製造設備を持たず、設計を自社、製造を他社でおこなう企業です。高い半導体設計技術を有するため、半導体そのものの計算能力(≒計算資源)を向上させることができる企業です。Deepseekの登場により、この2社の設計する高性能な半導体の需要が落ち込むと推測され株価が下落しました。
NVIDIA、Broadcomそれぞれー16.97%、ー17.40%の下落でした。
Microsoft, Google, Amazon
この3社の特徴はデータセンターに大きな投資をして、他社が使えるクラウドサービスも展開しています。データセンターの増設は計算資源の拡大に相当します。Deepseekのような最適化されたAIの登場によって、大規模な計算資源の必要性に疑問符がつきました。
特に、Microsoft(Open AI)、GoogleはそれぞれChatGPT、Geminiの開発をおこなっていることもあり、Deepseekと真正面から競争する必要があります。Microsoft(Open AI)、Googleの株価はそれぞれー2.14%、ー4.20%でした。
一方で、AmazonはEC・物流の分野で低価格のAIと相性が良く事業の追い風になるため株価の反応は鈍めで+0.24%でした。
Apple
AppleはもともとSiriというAIを開発していましたが、2024年にApple Intelligenceという新たなAIを発表しています。このApple IntelligenceはSiriだけでなくOpen AIのChatGPTが統合されています。Appleは外部のAIを利用するスタンスを見せていますが、これが好感触だったようです。Deepseekのような最適化されたAIが米国で開発され、それがApple製品に搭載されれば大手クラウドプラットフォーマーと比較して有利になります。
Appleは+3.18%の上昇でした。
Meta
Metaは売上のほとんどが広告事業です。また、AIデータセンターへの投資もおこなっていますが、自社利用をしていてクラウドサービスはおこなっていません。そのため、コストの低いAIはMetaのメイン事業である広告事業を強化できる可能性があります。また、FacebookやInstagramを通じて「世界でもっとも利用されているAIアシスタント」を目指すMeta AIが2024年に発表されました。Deepseekのような最適化されたAIが開発されればこれも強化されます。
Metaの株価は+1.91%の上昇でした。

結局、スケーリング則に従った方針でAIを提供する会社の株価は下がったよ!
逆に、AIを利用する企業は恩恵を受ける可能性があって株価が上がったよ!
まとめ
今回はディープシークの登場とそれによってS&P500の代表的な銘柄がどのような動きを見せたかを解説しました。ディープシークの登場はAI開発に、より効率的な方法があることを示唆するものですが、これはすべての銘柄に恩恵を与えることを意味しません。改めて分散投資の大切さを痛感させられます。